環境・防災都市に関する研究
【プロジェクトⅠ : 構造物の地震防災技術に関する研究】
プロジェクトⅠでは、第1期におけるプロジェクト2と3を合わせることにより、5年間に開発を行った各種の要素技術を組み合わせて、環境・防災を意識した土木・建築の構造システムとして発展させることを目標としている。
Ⅰ-1.近未来型の構造システムの開発
Ⅰ-2.地震時の地盤振動評価に関する研究
Ⅰ-3.地盤及び既存構造物の地震時安全評価診断に関する研究
Ⅰ-4.地震時の荷重に対する部材損傷評価に関する研究
Ⅰ-5.土木・建築構造物の地震時応答制御に関する研究
Ⅰ-6.防災都市構築における地域耐震性評価に関する研究
構造物にダンパーを装着して振動エネルギーを熱として捨て去ることにより,主要部材である梁・柱の負担する地震時変形エネルギーを軽減するための研究は数多くある。しかし,一般構造物を粘性減衰定数20%以上付与するような設計は通常の方法では困難であり,これを打破するための技術として,「変位の増幅装置」を有するダンパーシステムを活用して新しい対(地)震構造システムの開発や設計法を確立する事が,本プロジェクトの目的のひとつである。こうした高い減衰効果を有するシステムの開発は,より強度や靭性の低い材料を構造物に適用できる可能性を生むだけでなく,建設廃材などのリサイクル製品や林業にとって厄介視されていた間伐材などの利用を促進できるようになるため,環境倫理に対応できる構造物の創作に貢献することが可能となる。
一方で,1995年兵庫県南部地震が従来想定されていた構造安全性のレベルをはるかに超えた強震動であったことから,既存構造物の振動特性,地盤振動の把握とそれを踏まえた地震に対する安全性の診断基準は大きく変わり,杭構造の挙動・地盤の液状化判定方法・構造物の安全性診断などかなり進展しているものの,より多くの技術者が簡単に利用できるような分かりやすい形で整理されるには至っていない。本プロジェクトは上記の視点から,地震時地盤振動評価法の確立,構造物の振動特性からみた安全性の診断技術,新しい液状化判定法の開発,地震時の杭挙動の解明と杭のクラック診断手法の開発,他の部材の性能評価などに貢献することを目的にしている。
【プロジェクトⅡ : 大都市の環境性能と環境制御に関する研究】
プロジェクトⅡでは、第1期では組み込むことの出来なかった人工環境と自然環境との調和,市街地の道路上空間の環境と建物内居住環境との相互作用による向上を目的として、熱・空気・音・光・温熱などの環境要因の制御及び有効利用の研究を都市の地域レベルでの検討を行う予定である。
Ⅱ-1.都市の立体構造と被覆の把握
Ⅱ-2.市街地の風環境解析法
Ⅱ-3.市街地道路上の環境の計測法と評価法の開発
Ⅱ-4.高層建物の自然換気利用の研究
Ⅱ-5.環境制御に関わる都市計画制度の影響
都市計画においては交通量やインフラストラクチュアの整備状況によって,建築物の容量(いわば延面積や実効容積率)が決定されるとされてきた。さらに,用途地域と連動して建ぺい率,容積率,前面道路による斜線制限が関連法規により担保,決定されることで,住居地域には居住環境として適した都市空間が,商業地域には商業・業務に適した賑わいと効率の空間が実現できると考えられてきている。しかし,社会的要請を受けて徐々に建築物の形態に影響する規制の緩和が進み,道路からの壁面線の後退による道路斜線緩和,集合住宅における共用部分の延面積不算入などの規制緩和は従来からの統一した街並みを形成してきた都市空間に混乱をもたらし,形態規制を無視することにつながっている。
本研究に関連する先行研究は一般に,「環境計測」の面からは良好な居住環境を確保するための日照・騒音に関するもの,建築物の建て詰まりによる天空率の変化とその予測手法,建築物によるビル風の予測,都市内のヒートアイランド現象の計測などがあり,「都市計画」の面からは景観の変化,形態規制緩和によりどの程度の建物床面積が増加するのかなどの研究が見られる。しかし,地域の建物群と道路上の環境(音,光,温熱,風,気流,交通量など)との相互作用についての研究は遅れている。本研究は同一地区,道路において「環境計測」と「都市計画」からの検討を深め,これまで個別に歩んできた両者の研究成果を総合化し,“Street Environmental Management”の概念をわが国で確立することを目的としている。このことで道路を含む公共用地,民間所有土地そしてその地区の評価方法に利便性のみでなく環境性能を含めた新しい評価軸が導入でき,都市内の空間を「計画」的に捉えなおすことができる点に意義がある。